漢の西狹頌
Xi Xia Song (Hymn of the Western Passage)
漢の武都郡の太守である、漢陽郡阿陽県出身の李君の諱は翕、字は伯都。
天才的で明敏な頭脳を持ち、「詩経」や「禮記」などの経典を熟読し諳んじてきた李翕は先祖の功績により、皇帝に仕える護衛役となり、高位で酬いられた。
二十歳で地方官に任命され、その地の安定と繁栄の礎を築いた。
よって、三つの郡の太守に昇進し、それらの地域の平和、豊作及び繁栄に著しく貢献した。
李翕は古代の聖賢の道を学び、仁義に基づいて民に利益を施し、公平な立場で裁判に臨めていた。厳罰主義によらなくても自ずから治まった。
皇帝から深く信頼されるようになったが、いつも謙虚な姿勢で物事を判断し慎重に行動した。下級官人が衙門に出入りしなくても、政令を施行することができた。強者が弱者を侮らず、詐謀ある者が愚者を欺かず、互いに争い合ったり奪い合ったりすることがなかった。
辺境地から(李翕が治めている地域へ)移住した移住者が二千人以上となった。穀物などの農作物が豊作で、穀物倉にうず高く積まれていた。百姓に富みが広がり、物価が安くなっていた。武都郡の西にある谷には、細くて険しい通路が...
漢の西狹頌
龍石書
* The “Xi Xia Song” is a famous cliff stone inscription carved in AD 171 in honor of Li Xi’s meritorious service. It is regarded as one of the best calligraphic works in clerical script.