千字文は、文字通り「異なる1000の文字からなる韻文」で、千の文字を一度の重複もなしに組み合わせて作った漢詩です。パングラムまたはイソグラムと呼ばれるいろは歌も、すべての仮名を重複させずに使って作られたものです。千字文は周興嗣(502-549)が王羲之の筆跡から重複しない千の漢字を選んで作ったものなので、元来「次韻王羲之書千字」と呼ばれたものです。
大内田先生は、様々な書体の千字文を臨書した作品がたくさんあります。そのうち、3つの書体で書かれたそれぞれの漢字を横一列に並べて紹介させていただいたものもあれば、5つの書体で書かれたものもあります。これらの作品は、書体別ではなく、4つくらいの書体で書いたものです。また、草書で書いた作品は、それぞれの漢字の傍に同じ漢字及びその用例が読みやすい楷書体で書かれています。
千字文は6 世紀以降、子供の漢字学習の教科書及び習字用の手本として中国や韓国で広く普及したと言われています。4 字ずつ一句にまとめて、覚えやすいようリズミカルな韻文にした文章です。英会話学校に通う小学生が英語の正確な発音やリズム、センスが身につくように歌う「ABC の歌」も、これに類似するものです。
Four-Style 1000-Character Poem book in Kaisho, Gyōsho, Sōsho and Reisho